Eton mess/英国エリートのお菓子、イートンメス

イートンメスの場合英国名門校が発祥地!伝統のデザート、イートンメスを生んだあの事件とは?

なぜ、イートンメスと言う呼び名がついたのでしょう。「イートン」は、イートン校が由来です。「メス」は、英語で「整理整頓されていない」状態を意味します。「料理にまつわるエピソード」で書きました通り、あの事件がなかったら、イートンメスは今現在、存在していなかったでしょう。「イートン」と「メス」を結合して、イートンメスと呼ばれています。このような理由から、このレシピの特徴は一言でいうと、完璧なパブロバではなく、メレンゲを崩して、メスの状態を意図的に作ることです。
イートンメスのデコレーションは自由自在!
ラッド夫妻のイートンメスは、いちごとラズベリーを使っていますが、お好きなフルーツや旬の様々なフルーツを使って作ることができます。その他にも、チョコレートソースやキャラメルソース、アイスクリーム、ナッツ類などを使っても、おいしいイートンメスが出来上がります。甘い物が苦手、ダイエット中という方でも、小麦粉やバターを使用していないので、低カロリーであっさりとした味わいをお楽しみ頂けます。是非、トライしてみて下さい。

料理を作った人:ラッド夫妻/Mr and Mrs Ladd

ラッド夫妻/Mr and Mrs Ladd

ラッド夫妻/Mr and Mrs Ladd

ラッド夫妻は、果物が豊富に収穫されるイギリス南東部のケントに住んでいます。夏になると、甘くてジューシーないちごやラズベリーが市場に並びます。現在、夫妻は、自宅の庭と市営の畑で様々な果物と野菜を育てています。イギリスは、1年中どんよりした天気が多く、四季があるものの、日本のようにクリアなものではありません。だから、夏の青空の下で、クリケットの試合を見ながら食べるイートンメスは、初夏の到来を感じさせてくれる唯一のデザート。夫妻にとって特別なデザートなのです。

日本での実現可能度:★★★★★

材料(6人分)
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材料

材料

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グラニュー糖 …………………………………… 175g
卵白(Lサイズ) ……………………………… 4個
いちご …………………………………………… 200g
ラズベリー …………………………………… 200g
粉砂糖 ………………………………………… 30g
生クリーム …………………………………… 570ml
バニラエッセンス …………………………… 少量
いちごジャム ………………………………… 200g本

memo
ラズベリーが手に入らない場合は、他の果物で代用可能。

作り方(調理時間:30分)

【レシピ】
1.オーブンを150度に温めはじめる。
2.卵の卵黄と卵白をわけ、卵白をボールに入れる。
3. 卵白は、ハンドミキサーの低速で2分くらい泡立てる。その後、中速で1分間くらい泡立てる。
4.柔らかい角から堅い角へ変わるまで、高速で泡立てる。ボールを逆さまにしても、メレンゲが落ちないくらいまでしっかりと泡立てる。
5.砂糖を一杯ずつ加えながら、高速で泡立てる。卵白の色がツヤツヤになってくる。
6.オーブン用シートをトレーに敷き込む。
7.メレンゲの泡をこわさないように、スプーンですくい、丸い巣をつくるようにオーブン用シートに置く。
8.メレンゲをオーブンに入れたら、温度を140度に下げ、焼き上がったら、オーブンの電源を切る。オーブンの熱が冷めるまで、メレンゲをオーブンの中から取り出さないようにする。
9.メレンゲが完全に冷めるまでの間に、デコレーションを作る。

【デコレーション】
1.いちごを水洗いし、へたを取る。ラズベリーはきれいに汚れを布で拭き取る。
2.生クリームに粉砂糖とバニラ・エッセンスを加えて、ホイップする。
3.完全に冷めたメレンゲを2cmくらいの大きさになるように手で砕く。
4.生クリーム、いちご、ラズベリー、いちごジャム、メレンゲを器に盛りつける。
5.メレンゲが水分を吸ってしまう前にいただきましょう。

作り方のコツ

• メレンゲを作る時、砂糖は、一度に加えず、少しずつ加えてかき混ぜる。
• メレンゲは、中が柔らかく、表面がクリスプ状になっているものがよい。
• メレンゲを冷ます時間が長いので、前日に作っておいてもよい。

このお料理にまつわるエピソード

イギリス人に愛されているイートンメスは、パブリックスクールとして有名なイートン校が発祥の地であることを知っていますか。それでは、イートンメスは、いつ、どのようにして誕生したのでしょう。
1920年頃、夏にイートン校でクリケットの試合が行われました。クリケットの試合は、通常、3日間から5日間続くもので、選手達は、午前と午後に30分間の休憩を取ります。この時間は、ティータイムとして知られていて、紅茶とケーキでくつろぎます。当時、イートン校で開催されたクリケット試合の休憩時間に、いちごで飾られたパブロバというお菓子が学生達に供給される予定でした。ところが、このパブロバの入ったピクニック用のバスケットに事件が起きるのです。クリケット選手の一人が誤って、このバスケットを地面に落としてしまいました。バブロバは、どうなったのでしょう。このお菓子は、卵白と砂糖で作られたとても軽くて繊細なお菓子です。皆さんが予想されている通り、パブロバはつぶれてしまいました。それでもお腹をすかした選手達は、つぶれたパブロバをすくい取り、食べたのだと伝えられています。ちょっとした笑い話ですが、イートン校出身の有名シェフがイートン校に在籍している間、イートンメスを食べる機会は一度もなかったとのことです。

ラッド順子
2007年より英国に在住。現在、趣味の料理を楽しみながら、英語、日本語講師、翻訳、教育専門の通訳、ライターとして活動。個人のブログを立ち上げ中。本場のレシピ、英会話表現やオモシロ英国文化を紹介予定。